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 一枚のラベルから生まれる意識 

LABELUCAという小さな取り組み

 

獣医麻酔科専門医の小田です。

 

実は、しれっと「LABELUCA(ラベルカ)」という商品を作っています。

薬剤を注射器(シリンジ)に移す際に、「どの薬を吸い上げたか」を

一目で識別できるようにする。誤薬防止を目的とした色分けマスキングラベルです。

「専門医がそんな些細なことに労力をかけているのか」と思われるかもしれません。
あるいは、「お金儲けをしようとしているのか」と思われるかもしれません。

でも、私にとってこれは“些細なこと”ではなく、“大切なこと”です。
そして、LABELUCAの売り上げが獣医麻酔科学教育への投資につながればと願っています。

LABELUCAの商品写真

「当たり前」がなかった現場

手術前の処置室。並んだシリンジに薬を吸い上げながら、誰かがふと口にする。
「この薬、どっちだったっけ?」

そんな小さな迷いが、重大なリスクにつながることがあります。

実際、獣医療のインシデント報告(米国)では、
薬剤の取り扱いに関するエラーが最も多いと報告されています(Wallis et al., 2019)。

 

アメリカで仕事をしていたとき、

シリンジラベルはとても身近で、使わない日はないほど当たり前の存在でした。

ところが帰国してみると、その“当たり前”がどこにもない。
薬剤名をマッキーでシリンジに直接書くのが常識。


でも、マーカーが見つからなかったり、書きにくかったり、文字が見づらかったりする。
そんな小さなストレスが積み重なっていました。

恩師からの教え

 

私が学生の頃、恩師は「中身が分からないシリンジは使わない」と、
どんな状況でもためらうことなく処分していました。

ラベルも手書きもないシリンジを見つけたときの、
彼女の鋭いまなざしを今でも覚えています。

それは、誤薬が患者を危険に晒すことを実体験として知る人の
本気のまなざしでした。

“安全”とは、システムだけではなく、
意識と行動の積み重ねから生まれるものだと教えてくれたのも、

その恩師でした。

 

   無ければ、作ればいい

 

「LABELUCA」は、そうして生まれました。

小さな動作が生む意識

 

LABELUCAは、誤薬防止を目的とした色分けマスキングラベルです。

薬剤をバイアルやアンプルからシリンジに移すとき、
ラベルを貼るだけで内容物を一目で確認できます。

  • 色分けは国際的な医薬品分類基準(ISO 26825)を参考

  • 幅・長さはシリンジ径に最適化

  • ミシン目をつけて切りやすく

LABELUCAは、誤薬を“完全に”防ぐ魔法のツールではありません。
けれど、一枚のラベルが“誤薬をしないよう意識する”きっかけを生みます。

 

   完璧さではなく、意識の積み重ねが安全をつくる
 

その小さな意識を形にするために、LABELUCAはあります。

 LABELUCAの使用例

一枚のラベルがつくる新たな安心

 

LABELUCAを導入した現場からは、こんな声が届いています。

  「シリンジになのも貼らないことが怖くなった。」

  「投薬のときに、自然と“本当にこの薬で合っているか”を確認するようになった。」

  「投薬ミス防止への活用に、大きな期待を感じている。」

LABELUCAは、単なる識別ラベルではなく、
安全を意識する文化を生み出すツールです。

小さな習慣が積み重なり、
やがてそれが“安心”という空気をつくっていきます。

安全を習慣にしたい現場へ

 

LABELUCAを届けたいのは、
薬を扱うすべての獣医療チームです。

薬を扱う瞬間には、常にリスクが伴います。
だからこそ、“見える化された意識”が安全を支えます。

ラベルを貼るという小さな習慣が、
確認の声かけを生み、チームの意識を整えていく。

LABELUCAは、
安全を文化として育てるきっかけになることを目指しています。

あなたの現場に、もう一つの安心を

 

それは、意識というかたちのない安心。

シリンジにラベルを貼ることは、日常業務のほんの一瞬です。
けれど、安全は“意識すること”から始まる。

一枚のラベルを貼るその瞬間に、
私たちは「何を扱い、どう守るか」をもう一度、意識している。

小さな動作の中に、私たちの“安全への姿勢”が宿る。
LABELUCAで見える化するのは、意識そのもの。

     Care begins where consciousness lives.
     意識のあるところに、ケアは息づく。

参考文献:

Wallis, J., Fletcher, D., Bentley, A. and Ludders, J. (2019). Medical Errors Cause Harm in Veterinary Hospitals.

Frontiers in Veterinary Science, 6, p.12. https://doi.org/10.3389/fvets.2019.00012

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